東へ東へ・・・目的地は、ずばり『日本』!
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グワリオルからの夜行列車は、予定より少し遅れ、正午前にバラナシ駅に到着した。


駅を出ると、リキシャの客引きが寄ってくる。


『メインガートまで行くか?200Rssでどうだ!?』

200ぅ!?高い高い!!
とりあえずチャイ飲みたいの!
あとでね~



電車の中で乗り合わせたインド人にリキシャの相場は高くても80Rsまでだと聞いていたし、
とりあえずホッと一息ついてから、この町をスタートさせたかった。



デリーやアグラやバラナシなどのインドを代表する観光地では、客引きがしつこく、トラブルも多いという。
しかし、それっきりリキシャの客引きに絡まれることはなく、
正直つまらないなと思った。


結局、チャイ屋で息つく前に、乗り合いリキシャを見つけ、
全くのトラブルもなく、相場でバラナシの旧市街に到着した。




私のテンションはおかしかった。



期待と不安、ワクワクとドキドキ

そう表現すればいいのだろうか。



この町に来ることが、私にとって大きな舞台に立つこと同じような感覚だった。







10年前の夏、仲間と6人で降り立ったインド。
私にとっては初めての『旅』であり『バックパッカー』だった。

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入国翌日、雨に打たれながらデリーを歩き、
ずぶ濡れのまま夜行列車に乗り込んで向かったのが、ここバラナシ

私の『旅』は、ここが出発点だった。



しかし、日本とは何もかもが違うインドという国や旅という生活が、衝撃的すぎて完全なる消化不良に陥っていた。


仲間以外誰も信用することができず、遅れを取らないように着いて行くだけで精いっぱい。
いや、息をするだけで精いっぱい。
宿から100mで歩くだけで、丸一日仕事するのと同じくらいのエネルギーを要していたし、
まして歩いたことのない道を独りで歩くなんてことは、とてもじゃないけどできなかった。
毎日スプリングロールしか胃が受け付けず、土産物を売りつけつつも積極的に話しかけてくる子供たちと向き合うこともできずにいた。
好奇心なんて1ミリも持てなかった。
カルチャーショックで泣いてばかりいた。
それでも、『何を食べるか』『いつ起きるか』『どうやって行くか』など、小さいけれど大切な自己決定が、
今まで『みんなと同じことをしていればいい』『言われたことをしていれば大丈夫』といった固定観念を覆すきっかけになったし、
その自己決定ひとつひとつが自分に小さくも大きい自信につながって行った気がする。


バラナシは、私の旅の原点だ。

『試されている』というのも、あながち間違っていないと思った。



自分の弱さやあまりの器の小ささを思い知ったこの場所。
そんな私を受け入れ許し癒すように淡々と流れるガンジス川、それをただぼーっと眺めている時間が、かろうじて私の安定を保ってくれていた。
『えみりあ』というニックネームをもらったのも、ここバラナシだった。
一緒に旅した仲間がいなかったら、
日本でサポートしてくださった人たちがいなかったら、
そして、バラナシで出会い支えてくれた方々がいなかったら、

あれだけ自分の器の小ささを思い知り、実際完敗で帰ってきたのに、
何故か帰国後のトラベラーズハイは異常だったと、今では思う。
けれど、気が狂ったように『インド好きだ』『インドまた行きたい』『できなかったこといっぱいしたい』と寝ても覚めても言っていた私が、

今の自分につながっている。


この場所と出会いがなければ、

今の自分は存在していない。




そんな自分の原点であるバラナシに来ることは、
10年前の自分と向き合うことであり、
10年間の自分と向き合うことであり、
そして現在の自分と向き合うこと。








不安だった。






私の記憶の中のバラナシは、10年前のまま、色あせない。



だからこそ、ここに来ることが、
毎日歩いた道を再び歩くことが、
当時出会ったり、とてもお世話になった人たちと再会することが



少し怖かった。





そんな私に、10年前のインド旅行の時、ずっと行動を共にしていたトモコが、こういってくれた。

『心の準備は8割でいい。大丈夫。10年の月日があるから』


この言葉に、とても救われた。








バラナシを歩くと、いろんなことがフィードバックした。

毎日夕暮れにチャイを飲んだ場所。
ご飯を食べに通ったレストラン。
宿に向かう路地。
帰国直前に、停電の真っ暗の中、何かに噛み付かれた場所。
ジュースを買った商店。
泊まったホテル。

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そしてガンガー。

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まるで昨日のことのように、新鮮に思い出される。
こんな感覚がとても不思議で、快感で、すごく楽しかった。








でも、バラナシは変わっていた。

牛だらけ・うんこだらけ・ゴミだらけだった道は、こざっぱりしていた。
季節が違うのもあるかも知れないけど、人でごみごみしているということもあまりない。
雨季で歩けなかったガートも、今回は歩ける。
素焼きのカップで飲んでいたチャイは、経費面からプラスチックの使い捨てカップに変わっていた。
ガンガーを流れる死体も、河イルカも、今回は見ることができなかった。実際少なくなっているようだ。
夜停電しても、発電機を持っている家が増えたようで、道が真っ暗ということはまずない。
当時たくさんあった両替屋も、ネットカフェも、数が減っているように思った。
代わりに、wifiを導入している安宿が増えたし、ホットシャワーが出る宿も増えた。








10年前の写真を頼りに、出会った人を探した。



あの時、コロッケを作ろうということになり、野菜を買った市場の親子。
写真を撮ったら喜んでくれ、安くしてくれた。

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当時の場所に市場はまだ健在だったけど、
彼ら新市街に引っ越していき、ここではもう商売をしていないのだという。
誰も彼らの家までは知らないようで、あきらめざるを得なかった。

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毎日夕方に通ったガートで、毎日土産物を売ろうとしてきた子供たち。
あの時、自分と全く違う境遇の小さな子供たちを実際に前にして、私はどうしていいかわからなくなっていた。
仲間の一人が彼らにねだられてチョコレートを買ってあげていた。
私は何も彼らにしてあげていないのに、『お礼に』と彼らが売り物にしていた花入りの灯篭をくれた。
でも、私は最後まで彼らと向き合えないままだった。

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そんな彼らももう大人になっているはず。



ガートに行くと、

『僕の兄ちゃんだよ』
という少年二人。
確かに似ている気もするが・・・。

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翌朝、彼と再会できた。

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彼は今、観光客相手に写真を撮る仕事をしているという。
商売道具のカメラを大事そうに見せてくれた。

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彼も写真に写っている人。

みんな、この10年、親が亡くなったり、大変だったこともあるけど、
元気にしているみたいで嬉しい。
笑顔は当時のままだった。







そして、この人。


当時、インドに来たばかりの、右も左も分からない私たちを朝から晩までサポートしてくれた一人・ミントゥ。
大学で日本語を学び、日本語はペラペラ(しかも、その辺でやたら絡んでくる日本語使いとは全く違うきちんとした日本語)。
彼がいなかったら、間違いなくインドで生きて行けなかったかもしれない(笑)。

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何度もお邪魔したガートのそばの彼の家へ行ってみる。

そして感動の再会。

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彼は、やっぱり覚えていなかったみたいだけど、話しながら思い出してくれた。
私が忘れていたことも、すごく覚えている。

10年も経てばお互い変わるよねぇ。


家庭を持ち、2つのホテルのオーナーをしているミントゥと、『絶対インドリベンジ』を執念にし、世界一周しちゃってる私。

私は覚えてなかったんだけど、
トモコは当時、『将来自分のホテルを持ちたい』ってミントゥが言ってたのを覚えてて、すごく喜んでた。

そんなミントゥのホテルは、部屋を見せてもらったけど、
かなり高級感ある、ガンガービューの素敵なホテルだった。
私の泊まってる部屋は、この部屋についてるトイレくらいの広さだよ(笑)。

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この部屋でママのカレーごちそうになったんだよなぁ。
ママ、今も元気だよって。
当時まだちびっこで悪がきだった弟たちも、今はこのホテルを手伝ってるそうです。

今回はチャンスがなくて会えなかったけど、もし機会があれば次回会いたいな。

毎年来る欧米人のお客さんや、日本人のお客さんも多いみたいで、
やっぱりミントゥの人徳だなと思う。









10年の月日は大きい。
バラナシの町はいろいろ変わった。
人も変わった。
私も変わった。

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変わらないものなどない、それぞれの10年

『10年』という経験値をそれぞれが持っているはずだし、
『10年』という時間をそれぞれが歩んできた。


バラナシは、あのころとは全く違って私の目には映っている。
何もかも刺激的なインド・バラナシというよりは、変わり変わらないゆっくりとしかし淡々と時間が過ぎてゆくバラナシ。
見えなかったものも今は見えるし、感じることもある。
逆に擦れてしまった部分もあるのは間違いない。

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それでも、不思議なほど、いつもの旅と同じペースを崩すことなくバラナシを歩けた気がする。


この場所が変わったのか、私が変わったのか、
どちらにしても時間は確実に動いている。




あのころに『戻る』ことはできないけれど

それでもここで『ただいま』と言いたいし『おかえり』と自分に言いたい。


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そして、再び足を前に出そうと思う。
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[2015/07/28 00:34] | インド
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